江戸にほど近い武蔵国に〝神の森″と呼ばれる未開の森があった。人々が畏れ、寄りつかぬその森には事実古来から七人の神々が棲んでいた。大黒天、恵比須、毘沙門天、弁財天、寿老人、布袋、そして吉祥天の七神は、その森で平家の血を引く一人の青年を守護しながら、世の移り変わりを見守っていた。
その頃江戸では大火事によって多くの人々が家や家族を失っていたが、その火事は、幕府と老中が、人口の増え過ぎた江戸を拡張させるために起こした放火であるとの噂が流れていた。
その火事で、罪人を収容していた小伝馬町の牢屋も焼け、数人の罪人が逃走、江戸を脱して〝神の森″へと逃げ込んだ。
神々は罪人達を追い払おうとするが、江戸の拡張を企てる幕府の手が〝神の森″へと伸びようとしていた。