時は幕末。700年の長きに渡り、武家政権の実効支配のもと、その権威を封印されてきた朝廷が復権を目論み、勤王の志士達との連携を開始しようとしていた。彼らが目指すは倒幕。
その頃、京の一条戻り橋―。
一人の法師が忽然と姿を現した。名は芳一。
何処から来たのか、何処へ行くのか、誰も知る者はない。
芳一は、式神が潜むという一条戻り橋でただならぬ不穏の気配を嗅ぎ取る。
式神を使役出来るのは、安倍晴明の流れをくむ陰陽師土御門家。
血の抗争が激しさを増す京で、芳一は、朝廷の野望と、その歴史に隠された怨念の闇に足を踏み入れようとしていた―。